こんにちわ。
地下鉄吉野町駅近くのカラオケスナック「ミュージックパブキャビーヌ」店長の中島です。
ブルブルと携帯の振動が伝わってくる。
「朝から一体誰だよ」と俺は気怠そうに布団の中から手探りでスマホを探す。
昨夜は常連客に連れてこられた「酒マフィア」みたいなどこぞかのスナックのママに2:1の焼酎をしこたま飲まされ頭が鈍く重い。
そして生まれたての小動物のように瞼が接着し、目も開かない。
開眼までは遠く、真理を悟るにはまだまだ時間がかかりそうだなとか、起動まで時間がかかりそうな42年使い続けてるくたびれたCPUが思わせる。
nowloadingのまま童話ヘンゼルとグレーテルにでてくる魔女が肥えさせたはずの子供を確認するかのように手の感覚のみでスマホの行方を探す。
手に伝わってくる揺れでスマホを見つけると、目を瞑ったまま俺は電話を取った。
「はい、もひもひ」
まともにしゃべれないまま耳に押し当てると、音声が流れてきた。
土曜日の夜。
水割り注文しようと思ってバーテンダーにウイスキー割ってって言うたら「何で割りましょう?」って言うてきたんで、ふざけて「頭で」って言うた。
そのバーテンダー他の客見渡した後、俺の方向いて「どなたで?」って言いよった。
酔うた女が大声で。
「振られてーん。このままのウチでええって言うてくれんねやったら、もう普通の男でええわー」
「そいつ普通やないやろ。」
酔うた女が大声で。
「つらいわぁ。アホばっかり寄ってくるわ。賢い男が全然寄ってけえへんわ。アホばっかり寄ってくる。賢い男が全然寄ってけえへんわ。なんでやろな?」
「それは賢い男やからちゃうか。」
音声の内容はピン芸人ナオユキの酒場漫談だった。
なぜ急に?
何が起きたか分からないまま酒の残った身体で原因を探すのも面倒になり、俺はそっと受話器を置いた。スマホだけど。
再び布団を頭からかぶり、朝を告げる日の光を俺は遮った。
ほどなくすると再び震えだすスマホ
電話は時折、暴力性を発揮してこちらの都合をすべて無視してくる。
「ふぁい、もふもふ」
いつも行くタイ古式マッサージの看板犬ジェニーをモフモフしたい潜在的な欲求でもあるようだった。
より呂律が回らなくなった状態で再びスマホを耳に押し当てる。
予想通り、また音声が流れてきた。
「この町も変わらねぇなぁ。」
「どうした?付け合せのミックスベジタブルを見るような目で俺を見やがって」
「忘れちまったかぁ?俺だよ俺。ハンバーグだよ!!」
今度はハンバーグ師匠だった。
朝からハンバーグは重いだろう。
「それじゃあ腹ペコの皆さんに熱々の鉄板ジョーク、まずは100gか・・・」
と聞こえたところで俺はスマホの電源をオフにした。
そして意識もオフにすべく、布団を被りなおす。
どのくらい時間が経過しただろうか。
目が覚めると、もう朝と呼べる時間帯ではなかった。
そして、フジパンのCMで森七菜が描いたキャラクター腹ペコグースが我が家にもやってきたようだった。
さて、今日は何を食べようかなと思ったところで記憶がフラッシュバックする。
「忘れちまったかぁ?俺だよ俺。ハンバーグだよ!!」
そうか、ハンバーグ、ハンバーグだな
俺はさっとパーカーを羽織ると、いつものステーキ屋へと歩き始めた。
店に入ると、先客は一組しかいなかったが俺が注文した後はぞくぞくと来客が続いた。
ここは接客はどうかとは思うが、味と価格は満足できるからな。
頼んだのはメガハンバーグで600g
焼き上げるのに25分くらいかかるやつだ。
けれども、これをオニオンソースで食べるとこれまた美味いのだ。
相変わらず味は絶品
出てきたばかりのハンバーグにナイフを当てると、流れ出す肉汁の滝
そしてレア感の残るハンバーグがこれまた柔らかくて美味い。
オニオンソースの味もかなり良い。
大満足で店を後にした。
にしても好事魔多しだな、ちょっと店の件で事件が起きてしまったので頭が痛い。
俺以上にご本人の方が辛いだろうけれども一日も早く全快されることを祈りたい。
でもって↓今日のネタ
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