祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声が聞こえる
平家物語の冒頭のこの句は「盛者必衰の理をあらはす」と続き、「猛き者も遂にはほろびぬ」とさらに続く
そう、永遠なんてものも不変なんてものも存在はしない。
それは神話の時代から示されており、悪徳により栄えた人間はノアの箱舟の話のように一度大洪水によって一掃され、天まで届くはずだったバベルの塔も崩壊する。
楽園はある日突然終焉が来たりする物だ。
昨日まで継続した普通の日々は、誤解によって当然明日以降も続いていくようなものであるかのように思うかもしれないが、それは奇跡的幸運の連続に支えられているだけであって、当たり前なんてものもこの世の理には存在しない。
幸運に与えられた普通の生活を権利だと誤認していると、足元を掬われる。
名著である「チーズはどこに消えた?」の話のように、チーズで満たされた部屋からもいつかはチーズはなくなるものだ。
けれども、考えてみれば終わりがあるからこそ、それに価値があるのかもしれない。
骨董品も限定品も限りがなければ誰も見向きもしない。
時間も限られた物しか与えられないから価値が生じるのだ。
生涯という1秒単位の累積でも、神が人に与えた最大の時間が120年と言われている。
つまり、人間はMAXでも37億8432万秒しか生きる事はできないのだ。
昔読んだ書籍に毎日86400円振り込まれる口座があったとして、残金は翌日に持ち越されずにまた翌日86400円振り込まれます。
あなたは86400円を毎日全部使い切りますか?という質問に、ほぼすべての人がYESと答えていたが、これは実はお金じゃなくて一日の秒数。
限られた時間を毎日有意義に使っていますかという話だった。
また寄り道してしまったが、時間も無限に与えられていたら誰も価値を見いだせないだろう。
時間にも必ず終わりがある。
そして、物事は限りがあるからこそ価値が生じる。
最初にそれを目にした時の俺の台詞はこうだった
「いつかこんな日が来るとは分かっていたが、ついにこの日が来てしまったか」
アリスが歌っている「チャンピオン」を思い出す。
無敗の絶対の王者が、若いチャレンジャーに初の敗北を喫するとき。
そう、時間の経過とともに訪れる衰えによるいつかは誰しもが必ずやってくる世代交代。
無敗の王者の言葉からすれば、「ついにこの日が来たか」だろう。
まさにそんな心境だった。
何の話か?
先日会社に出社し、昼頃から相模原に仕事に向かった。
そういえば、最近行っていないなと思い出し、会社近くにあるランチでカキフライ食べ放題のオイスターバー「オストレア赤坂見附店」に向かった。
カキフライ1個の糖質は4g程度
10個くらいならぎりぎり糖質制限の許容範囲かなと思っていた。
そして、店の前に辿り着くと、俺は「ついにこの日が来たか」と呟かされた。
店舗の貼り紙には「11月1日よりランチを当面休止します」と書かれていた。
そう、そうだよな、そりゃそうだよ。
あんなにハイクオリティのカキフライの食べ放題って、どれだけ赤字なんだろう。
こんなに凄いサービスが絶対に続くはずがないと思っていた。
そうしたらもうずっと前にその日は来ていたのだ。
知っていたら、その前にもう一度行っていたのに。
比較的行けるうちに行っておけと利用させてもらったので、納得はしているけれども、やはり来てしまったのだ。
このオイスターバーのカキフライ食べ放題終了の日が。
仕方がなく、大戸屋でランチ
鯖の塩焼きと糖質が18gと記載されていたナスの味噌炒め
全部で糖質24gくらいのはずなので、これなら糖質的には問題ない。
けれども、あのハイレベルなカキフライを好きなだけ食べる事の出来る日はもう来ないのかもしれないのだよな。
そう思うと、未練のような感情が満たされていき、どうにもこうにもやるせない。
素直に悔しいな。
「あな、口惜しや」とか古文で言いそうになる。
祇園精舎の鐘の声が聞こえたせいだな。
そんなオチが1番スマートかと思ったけど、画像を挙げるために蛇に足を描こうと思う。
蛇にピアスではなく足を描いた理由は、俺の行動に少しでも意味を持たせようと一度来店してくれて、うちのおふくろがお世話になってる店にちょっと前にランチに行ってきた。
店の名前は吉野町からうちの店に近づいてくると存在する「爆盛り定男」
なんでもおかずのボリュームが凄いらしい。
一度、来店してくれているし、僅かでもいいから全ての行動に意味を持たせたいと思っている俺はランチを食べて、いつも母がお世話になっていますと店の名刺を置いてきた。
魚の脂を摂らなければとアジフライのおかず爆盛りで、ライスなし
そしたら、爆盛りってオカズ2倍なのね。
アジフライ2枚のはずが4枚出てきた。
濃厚味好きな俺は本来ならタルタルだけなんだが、ソースを追加してもらいアジフライ4枚平らげてやった
過剰摂取だなと思ったけれども、家庭的なアジフライは美味しく満足感も高い
隙あらば再訪したいと思う。
アジフライ、いいね
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