「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」
この有名なセリフはマリーアントワネットの言葉とされている。
状況的にはルイ16世の治世下のフランスで起こった大飢饉の最中に発せられた言葉で、貴族の非常識さを端的に表した言葉だ。
そもそもケーキがあるなら餓死者が出るような食料難じゃないのだが、民の凄惨な状況とかけ離れた贅沢な暮らしをしていた貴族の常識がどれだけ物を知らないんだという事を象徴しているかのような話だ。
そして、最近受注した歯科医院がまさにその「貴族」だった。
鳥貴族くらいだったら可愛げあって良かったのに。
大体何も理解できていないんだが、生まれながらにして金持ちすぎてお金という最強の手段でなんでもどうにかなるのだ。
歯科診療以外まともにやったことがないのだろう。
こう、対等な人間と言う存在を知らないのかもしれない。
指示内容も曖昧過ぎて意味不明だし、無茶ぶりな話を俺が対応中にいつのまにか依頼している俺に一言もなくどっか旅にでちゃうのだ。
そして、具体的に設置とか設定するという雑務をしたことがないので、想像がつかないんだろうな。
納品数が多いのに、物凄く狭いカーテンがない部屋で勝手にやっといってとか言われちゃうのだ。
眩しくてモニターが見えねえよとか思うんだけれども、本人が眩しくて狭い部屋で作業なんてやった事ないから分からないんだよな、それがどういうことかを。
こいつは貴族だなと思わされた。
餓死者が出ているのに、パンがなければケーキ食べればいいのにと「そんな事も気づかないなんて、みんな馬鹿なんじゃないの」という表情で言っちゃうような人だ。
もしくは暴れん坊将軍とかで成敗されちゃう老中のバカ息子が、罪も無き民衆を気分で切捨御免で無礼討ちしちゃうようなイメージ
改めて、人間は能力じゃないなと思わされる。
むしろ、見た目や能力なんてものは結果に対してそれほど影響を与えないのではないかと学ばされる。
ボクサーの井上尚弥のように余程才能が突出していれば話が別だけれども、江戸幕府の三代将軍徳川家光の言葉を再度思い出す。
「余は生まれながらの将軍である。」
笑ってしまうくらいに何もできない人でも生まれながらにして貴族であれば、個の能力くらいではその結果の固定化を覆す事なんてできないのかもしれないな。
だからこそ、生まれながらにして貴族のような家でなければ偶然の大当たりを狙うしかない。
再度確信を得られたので、やはり俺はラッキーと言えばラッキーだな
そういえば、こないだ食事を取っている時の事
漫画の「見える子」ちゃんをこれまた再度思い出した。
あらすじは、ある日突然、普通の人間には見えない存在が見えるようになった女子高生の「みこ」は、その存在に怯えながらも立ち向かわずに精一杯平常心を装い、見えないふりをしてやり過ごし続けるという話だ。
まさにそのシチュエーションだなと思わされた事があったのだ。
時間がなかったので、安価なチェーン店でご飯していた時の事。
まだ夜というには早い時間だったのに、昼から忘年会なのか、ハイペースで飲みすぎたのか不明だがべろんべろんの兄さんが他にもたくさん席が空いているにも関わらず、何故か俺の横の席に来た。
そして、注文した食事が届くと・・・
「うめぇ」と絶叫
「うまい、うますぎる」
風が語り掛けている埼玉銘菓十万石まんじゅうのCMかよと突っ込みたくなるくらい、安飯をうんうん旨い旨いと騒ぎながら貪っているのだ。
そして俺の方を向きながらやたら聞こえるように言ってくる。
確かに「不味い」というよりはいいかもしれないが、絶対に何があっても反応しちゃいけないやつだと思わされた。
気付かないふりをしなければ、きっと面倒ごとに巻き込まれる。
このシチェーションが「見える子」ちゃんがお化けを見て全力の気づかないフリをするのと似ているなと。
こいつは一体何がしたいんだと訝しがりながらも、ずっと俺の左耳に向かって旨い旨い叫ぶ若いお兄ちゃんに本気の気付かないフリをし続けていた。
無だ、無になるんだ、コスモを燃やせ
臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前
心の中で九字を切った。
♪何も聞こえない♪
徳永英明の「壊れかけのRadio」の歌詞が脳内に響き渡る
それでも、俺の気付かないフリと現実を見る事の勝負だと言わんばかりに「うめぇ」の絶叫が何度も俺の耳を貫く
その瞬間、石川ひとみの「まちぶせ」の歌詞が脳内に流れた。
♪好きだったのよ、あなた胸の奥でずっと♪
♪もうすぐわたしきっと あなたを振り向かせる♪
俺は絶対に何があってもこのシチュエーションでこの兄さんには振り向きはしない
チラ見ですらもしてなるものか
ただ、食事を摂っているだけなのに、何故にこんなにネタが降ってくるんだろうな。
ラッキー過ぎるだろ
にしても、一体このあんちゃんはなんなんだろう。
俺に「確かに美味しいですよね」とか言って欲しかったんだろうか。
そして「だよねー」とか意気投合したと勘違いして飲みに行きましょうみたいな発展を望んでいるのだろうか。
俺はこの兄ちゃんとは絶対にそんな展開嫌だ。
面白い可能性がありそうな人ならそんな特殊な出会いもいいが、自分に気づいてくれと言わんばかりに衆目を集めようとする人は視点が自分しかないだろうから多分、関わったが最後、絶対に後悔することになるだろうなと思わされるのだ。
そんなにこの安い飯が美味いなら、光よりも早く食べて、満足気に爪楊枝シーシーしながらけえってくれ
本気で願った。
結果的には俺の覚悟を持った渾身の気付かないフリに軍配があがり、どうにか酔っ払い兄さんは去ってくれた。
そんなわけでネタだけ手にしてラッキーだったのだけれども、こないだメルカリで購入した封印シールが切れたハーパー12年と普通に酒屋で買ったハーパーを飲み比べてみた。
前回の記事はこちら
どっちも同じ普通のハーパーだろうと思っていたら・・・・
やはりメルカリ高評価1370件の方は違った。
ハーパーとハーパー12年どちらも味が違うので、多分本物
これはこれで結構ラッキー
ハーパー12年を無料でもらってしまった。
飲んでいる内に、体感上バーで飲むハーパー12年と同じ味になったし。
まあ、いつもどおり俺にはラッキーしか起きないね。
ラッキーしか起きないと決める事、それが実際にラッキーをもたらせているなと改めて思わされた。
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