そして暴かれる現実
もう火曜サスペンス劇場の煽り文句にしか聞こえないけれども、残念なことに俺は真実を知ってしまった
この日は休日だったが俺は夜の営業プレゼンに備えて会社に向かっていた
自宅を出ると、当時はまだ8月前だというのに殺人的な気温で、この厳しい環境下での外出なんて狂気の沙汰なんじゃないかと思わされた。
イスラム教のラマダンという修行があり、その期間は日の出から日没までの断食を行う。
もちろん飲み物もNGだ
同様に過剰に温暖化した日本においても、人類を滅亡させようとする熱波から身を守るため、7月から8月は日の入りから日没までを外出してはいけない期間に定めた方がいいんじゃないかと思えてくる。
僅かに歩いただけで汗でスーツがピタリと貼り付く
決して気持ちのよい状態ではなく、目的地にたどり着くころにはスライムみたいにべとべとのデロデロになっていることが想像に難くない。
本物のデロリアンはバックトゥザフューチャーのタイムマシンではなく、夏にいたるところに現れる生物だなとか思わされる
そんな中、最寄り駅に向かっていると「すみません」と声をかけられた。
なんだと思って振り向くと、そこには薬局の外に置いてあるベンチに座った男女の二人組が座っていた。
女性の方がやや年配だが、男性は30代から40代前半くらいまでだろう。
なんだろうと思って「はい?」と聞き返すと、その男性はこう言った。
「僕たち三日間何も食べていなくて」
俺は即座に「それは福祉に行ったほうが良い」と答えた。
とその瞬間、過去の記憶が脳内にフラッシュバックする
「僕たち三日間何も食べていなくて?」
どっかで聞いたな・・・
思い出した!!
この声のかけられ方するの3回目だ。
そしてよく見れば、その時と同一人物じゃねえか
しかも2年くらい前に伊勢佐木町のドンキ前で声をかけてきた奴とまるで同じ。
気づいた瞬間、色々な事にオセロの反転のように気づいていく。
こいつ2年前からまだ同じことやっているのか。
しかも、また俺に声をかけてきたという事は俺だったら金を払ってしまうようなちょろいオーラだしているって言っているようなもんだよな。
なかなかグッとくる大賞を取れる話だと思うんだが、それ以上に三日間何も食っていない奴が、なんで二人してそんな洗いたての綺麗な服着てんだよ。
さらに言えば、二人ともふっくらして肌艶いいじゃないか。
おまけに髪も綺麗に染まっていて、プリンとかにもなっていない。
髭も生えていないし。
3日何も食う金がないならまずは髪染めるのやめて飯食えよと思ってしまった。
そして会社に俺は向かい、プレゼン資料の用意と後日使用する納品物の出荷手配を行った。
社用車に乗り込み、行きに会社に持って行くと重いので、一つその夜のプレゼンで使用する物を車で自宅に取りに戻った。
丁度会社に向かうときに声をかけられて3時間くらい経過した頃だろうか。
俺は必要物を車に積み込むと、近くのコンビニで車の中で飲むための飲料を購入していた。
すると、さっき俺に声をかけてきた男性の横にいたちょっと年配の女性が俺の後ろでレジに並んでいるのが見えた。
手に持っている物を見ると・・・・
ビールと氷結とストロング0
思いっきり、そして全部酒じゃねえか。
何、セルフ募金ビジネスの一仕事終えてプシュッとやろうとしてるんだよ、三日も何も食っていなくて、見知らぬ人に金をねだっていたはずの奴が
誰かから金をもらえたのかもしれないが、だとしてもせめてもっと見つかり辛い場所で買えよな。
知らない人からせびった金で、座っていたところから一番近いコンビニで酒買いますかね、普通。
生業ならもう少しプロ意識持ってほしいとか余計な事を考えてしまった。
福祉に行けと言って本当によかった。
そう思い、俺は車に乗り込むとプレゼンの現場に向かっていた。
エンジンをかけウィンカーを出す。
自宅から駅に向かう道を今度は車で通過することになった。
ふと、3時間前に声をかけられたベンチを見ると、ベンチの下に俺は気づかなければよかった物を見つけてしまった。
そこには誰かの「優しさ」が置き去りにされていた。
そう、多分三日も食べてないと聞いて同情したのだろう。
彼らが座っていたベンチの下には炎天下の中、買ったばかりのコンビニのサンドイッチが置き去りにされていた。
食品で包装されているとはいえ土の上に横倒しに無残に置かれたサンドイッチの置き方には悪意すら感じる。
多分、善意で提供した人はお金は駄目だけれど食べ物ならと思ったのだろう。
けれども、三日も何も食べていないはずの彼らにはサンドイッチは不要だったのだ。
現金以外は。
そして、現金を得ると近くで酒を買うわけだ。
今日も稼いだね、お疲れさんみたいな感じてプシュッと・・・・
善意は踏みにじられ、真実は暴かれる。
そしてその時系列を俺は何故か目撃してしまった。
つーか、もらったサンドイッチを捨てるにしても最低限の礼儀と言うか仕事というか、見えないところや分からないところに捨てろよな。
別のカップルがそのサンドイッチを見て、フリーズしていたのでそのカップルがあげたやつかもしれないが。
考えてみれば、三日も食べていない人が二人いたらお金あげるとしたら、普通は千円か二千円あげるよな。
これさ、3時間で5組くらい捕まえることができたら1万円になる。
万が一10組だったら2万円
普通に派遣やバイトするより時給高くない?
二人で考えても3時間で1万円なら、時給1600円オーバーですぜ?
杜撰な仕事して、三日何も喰っていないと言うだけで。
女は多分感謝もせずに黙っているだけ、そしてもらった食べ物はその場でゴミとして捨てて、騙される方が悪いと言わんばかりにある程度回収したら周りも気にせず最寄りのコンビニで酒を買う。
で目標値いったら今日もお疲れさんとプシュッとなと。
なかなかグッとくる話だよな。
しかもさ、2年間もやっているという事はやっている意味があるからやるんだよな。
割に合うというか
前回は思い出したけれども、栃木とか群馬からきて三日食べていないとか言っていたな。
栃木とか群馬からの二人分の交通費あれば飯位食えるだろと思った記憶がある。
こうして荒んだ世界が広がっていくんだろうな。
せめて人の「善意の踏みにじり」は分からないようにやって欲しい。
でも反転して考えれば、この二人は他の人に「善行感」を売っているのかもしれない。
「いいことをした、私は自分自身でいい奴だと気持ちよくなれたでしょ?」と
いずれにせよ、行動も「すっぴん」じゃなくて「化粧」くらいしろよな。
2年以上もそれで食ってるんだったら。
知りたくもない現実を突きつけられた。
でも、だよねとも思わされる。
ある意味、騙された人達に教えてあげているのかもしれない。
オレオレ詐欺とかに引っかかっちゃ駄目だよと。
安易な善意は換金されてしまうと。
でも、俺にも教えてくれようとしちゃってくれたってことは、どんだけ俺が間抜け面して歩いるように見えて、「とんだ間抜け野郎だな」と思って声をかけられたってことだよなとか思うものな。
どちらに転んでもグッとくる話
さて、そんな中、相模原の方に「レトロ自動販売機」が集められていて、よくヤフーニュースなどで自販機への悪戯犯が糾弾されている「中古タイヤ市場相模原店」に行きたいと常々思っていた。
やりたいと思っていることをすぐやらないって、どういうことだと自問した俺は当然行ってきた。
丁度モンスター営業と出会った直後だったこともあり、本当に「何もしない自分」ってのは「つまんねー奴」にしか見えないなと。
俺は何よりも面白いを大事にしたい。
そんなドリーマーなセリフを思いながらも、モンスター営業は相変わらずモンスターだった。
今年の1月に大学院に通い始め、先月2社目の社団法人を設立したらしい。
そして大学院で会った同じ講義を受ける女性二人と2社目を起業してビジネス開始。
相変わらず、行動のスピードがおかしいんだよな。
俺も普通の人に比べれば、行動の速度は大分加速してきたと思うんだが、1年と3か月で2社目設立ですってよ。
モンスターめ・・・・
行動の速度がモンスターすぎる
こんな化け物に普通なら敵わないよな。
5年前に知り合ったときは本も読まないちょっと行動が早くて営業できるだけの人だったんだけれども・・・
行動の高速化は勉強大嫌いだったこの人を「大学院は面白い」とか言わせるんだもんな。
しかも仕事しながら年間授業料200万円弱払ってですぜ。
どう考えても、元来のスペック的な物で考えれば、客観的に俺の方がスペック的には遥かに高いと思うんだが、でも行動の速度による学習はスペックの高低なんか意味がないと証明してくれている。
反転して考えれば、俺も行動の速度によっては何もしない「赤門卒」を軽く超えられるいう事にもなるんだけれども。
ただ、そういったモンスターと接点があり、関係性が継続しているってことは、相手の視点から俺を見たとしても「何もないすっからかんの人間」ではないという認識の証明だ。
まあそんな自己擁護しても意味がないんだけれども、行動の速度は速いやつ見ていると自分も加速できるよね。
早く本も出版しなきゃな
もう少しなんだよな。
でもって、刺激を受けたんで、即行動だと早速レトロ自販機に行ってきた
そう神奈川県相模原市にある超有名店舗中古タイヤ市場相模原店だ
ここは変な観光地に行くよりずっと面白く、秋とか寒くなりそうな時期にはより楽しめそうだ。
古いものも多く、「懐かしい」が連発できる
最初に購入したのは事前に一番美味いらしいという情報があった「きつねうどん」
27秒でできるという自販機シリーズ
タイマー見ていたら27ア秒より早く出てきた
流石レトロ自販機
ただ、これ出口のところで器が熱すぎて取り出せない。
それでも火傷を覚悟で器を掴んで取り出した。
したらば、あまりの熱さにうどんの汁飛び散らせながら取り出すことになる。
そして、飛び散った汁が手にかかりより熱くて揺れる丼、俺の手に撒き散らされるうどん汁
ループする熱さと手のブレ
うん、夏には向いていないね。
炎天下で食べるとまた汗だくデロリアンになるし。
そしてカレーも食べてやった。
うん、きつねうどんが一番リーズナブルで美味いかもしれない。
俺のお客さんの相模原歯科医師会の会長の歯医者さんの近くなので、仕事で行った帰りには他の自販機もトライしたい。
カレーは微妙だった。
トーストサンドとハンバーガーが気になるんだよな。
にしても「かき氷」の自販機とかさ、山形パインサイダーとか、コシヒカリがゆとか、飲む極上ライスとか、なかなか楽しめる。
下手な観光地よりずっとこっちの方がリーズナブルで楽しい。
1000円使うのもなかなか至難の業だし。
また一つ、やりたいと思ったことを即座にやってやった。
本をkindleで出版したら、次はモンスター営業に追いつけと個人事業をひとつ実際にやることだよな。
年内には1件やれたらいいが。
まあ、これは会社の営業活動にもなるから、一石二鳥になるしな。
実際にやってみて試行錯誤で学ばないと。
けれどもうまくいっちゃったら飲食店の方がまるで割に合わないとか思うようになるのだろうな。
学びは多いのだけれども。
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